漆黒が隠す涙の雫

「潤にも遅い春が来たのかな〜」と言いながら、はっはっはと笑う修二くんをキョトンと見ていれば、昴さんが私にニコリと笑いかけ話し始めた。


「愛華ちゃん。うちのグループに何で副総長がいないか知ってる?」


副総長…?


副総長ってつまり、総長の次に偉い人の事だよね?


私はてっきり、昴くんがそうだと思っていたんだけど……。


私の言わんとした事が分かったのか、昴くんは「残念ながら俺は幹部の一員だけど、副総長ではないんだ。よく間違えられるけどね」と言って、眉尻を下げ笑う。


違うのか。


なんだか意外だな。


こういう人が副総長だと、総長さんは凄くやりやすいんじゃないかなって思ったんだけど。


現に、潤くんは凄く昴さんを信頼しているように見える。


「副総長のポジションは、鷹牙の分裂前から決まっていたんだ」


「え?」


「そして、それは今でも変わらない」


それって……。


「もしかして……」


「そう。副総長のポジションは、潤が新の為に大切にとってあるんだよ」


潤くんが……?


「で、でも潤くんは、もうお兄ちゃん仲間じゃないって…前に言って……」


「うん。あの時潤は、愛華ちゃんを巻き込まない為に必死だったからね」
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