漆黒が隠す涙の雫
潤くんが必死…?
「それってどういう…?」
「愛華ちゃんが現れる前、俺らは新を説得する為にあらゆる手を尽くしてたんだ。だけど新は一切取り合おうとはしなかった。それどころか、俺らを遠ざける為に日に日に荒っぽいやり方をするようになっていってね……」
昴さんに出逢った時、傷だらけだった男の人を思い出す。
「もう打つ手がない。そんな時に君が現れたんだ」
弾かれるように昴さんを見れば、彼は穏やかな表情で私を見つめていた。
「潤からしたら、喉から手が出るほど欲しかった、新を説得する為の最後の手段だったと思うんだ。だけど、潤は愛華ちゃんを使おうとはしなかった」
「なんで…?」
「“愛華から新を奪いたくない”」
「え?」
「潤が言ってた言葉だよ」
私から…お兄ちゃんを?
「潤は、愛華ちゃんに新の事が知れたら、その瞬間に愛華ちゃんがひとりぼっちになってしまうって、そんな辛い思いはさせなくないって言ってた」
潤くんの言う通り。
今までお兄ちゃんがいてくれたから、私はひとりぼっちだなんて思った事がなかった。
お兄ちゃんはいつも私の隣で笑っていてくれたし、私の一番の理解者で。