漆黒が隠す涙の雫
それから、今見た潤くんの表情は幻かって思うくらい速やかに元の無表情な潤くんに戻って、さっさと先を行ってしまった。
ようやく潤くんが足を止めたのは、小さな公園の横に止めてあるバイクの前。
「ん」
潤くんから差し出たされたヘルメットを反射的に受け取るも、いまいち状況についていけない。
ヘルメットを見つめて固まる私に、「あぁ。そっか」と呟く潤くんは、公園と道の間を隔てる低いフェンスの上に腰をかけた。
「言ってなかったけど、今日からこうやって俺か昴が愛華を迎えに行くから」
「えっ!?」
「俺は愛華と触れ合っても平気だから、こうやってバイクで迎えにくることも多いと思う。昴の場合は、電車とか交通機関を使ってもらう。当たり前だけど、愛華に触れない方法を使うことになるから、安心して」
つらつらと業務的に説明をしていく潤くん。
だけど、私の知りたい事とは、何だか論点がずれてる気がする。
「え、えっと…。それは、私の家まで送ってもらえるって事でいいのかな?」
「何言ってんの。行き先は毎日、翼鷹の倉庫だよ」
「ま、毎日!?」
ということは、放課後は毎日翼鷹の倉庫で、翼鷹のメンバーと過ごさなきゃならないわけで……。
監禁とまではいかないにしろ、今まで通り自由にとはいかなそうだ。