愛の消息
だからだ、と言いたい。
だから、逃げ場を探した結果、14の時お金をためる為、知らない男性に初めてを許した。その時の感想はあまり無いが、やっと自立できたのかもしれないと、そんなことを思って援助交際を続けていた。しかし、行為を終え貰ったお金を、汚いと思うまでに時間はかからなかった。身も心もボロボロになった。自分が惨めで馬鹿な生き物だと思った。そんな時、今の店のママに声をかけてもらい、18の時ホステスに行きついた。


彼女もここらじゃ有名なホステスだった。店には大きな宣材写真が貼られていた。そんな記憶が頭の片隅にある。



「こんなのどう?」
「とても可愛い。でも高そうですよ?」
「欲がないな。可愛いと思ってるなら買ってやるよ」
「ふふ、じゃあお言葉に甘えて」

同伴中。プレゼントを買ってくれると言う黒田さんがこちらを向いて笑う。その綺麗な顔に見惚れる。黒田さんは初回からずっと私を指名してくれてる。薄汚れた私の人生を嫌な顔1つせず聞いてくれた。


黒田さんが会計を済ませ、2人で車に乗り込む。向かう先は決まってホテル街だ。澄んだ空気と黒田さんのムスクの香水の香りが静かに流れる車内で私は考えていた。私は黒田さんのことが好きだ。でも、それが恋愛感情なのか憧れなのか検討がつかなかった。昔からそうだ。自分の決断力の無さには驚く。何も判断出来ず、川のように不可抗力に流されてきた。それも彼女の所為にしていいのだろうか。
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