イジワル副社長の溺愛にタジタジです
まだ買って間もないとはいえ、歩いた距離は長い。


「歩き回らせたのは俺のせいだから、俺が責任をとろう」

「は?」


どうして本城さんが?


「蒼井、車手配して」

「……はい」


車の手配って……昼食に行くんじゃなかったの? 

ランチならこのビル周辺にいくらでも店があるので、わざわざ運転手を呼んだりはしない。

次の予定は十四時半。
それまで時間はあるけれど、ランチに行くというのはやめたのか、またどこかに出かけるようだ。


もともと気まぐれな人だから、もう驚きはしない。
でも、私のパンプスが壊れてしまった責任をとると言ってみたり、車手配してと言いだしたり、なにを考えているのかよくわからない。


「本城さん、すぐに玄関に回してくれるようです」

「了解。それじゃ、行くか」

「はい」


とりあえず、彼が木工用ボンドで修理してくれたパンプスを履いて立ち上がった。

でも、やっぱりちゃんとついてない。
もう取れそうだ。
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