イジワル副社長の溺愛にタジタジです
エレベーターのドアが開くと、私はいつものようにボタンを押し、先に本城さんを中に入れ、自分も乗り込もうとした。
でも……。


「あっ」


膝がガクンと落ちる。
やっぱりくっついていなかったヒールが再び折れてしまったのだ。


「危な」


すると本城さんは私の腕を抱え、助けてくれた。


「すみません」

「足、ひねってないか?」

「はい。大丈夫です」


そう言ったものの、どうやらさっきよりひどくひねったらしい。
足首が痛い。

本城さんは私の代わりに他の客が乗り終わるまで【開】のボタンを押し続け、次に七階のボタンも押した。
こんなこと、副社長という立場の彼にやらせていいことではない。


「すみません」

「謝らなくていい。ボタンを押しただけだ」


彼は折れたヒールに視線を落として、おかしそうに笑う。


「やっぱり素人の修理はダメだったな」

「いえ、ありがとうございました」
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