イジワル副社長の溺愛にタジタジです
おまけに男の色気を纏った本城さんは、社内の女子社員から憧れの眼差しで見られている。
でも……。


「蒼井は厳しいな。『本城さん』じゃなくて『慶太郎さん』って呼んでくれたら、頑張るよ」


いつもダラダラとした態度で、おまけにちょっとチャラい。

ただ、そんな姿は副社長室の中だけで、一歩外に出ればシャキッと背筋を伸ばし、クールな表情を浮かべているから、私は二重人格に違いないと思っている。


「早くしてください、本城副社長!」


誰が『慶太郎さん』なんて呼ぶもんか。
私は彼女じゃないの!


「はいはい、わかったよ。すみれちゃん」

「本城さん、いい加減にしないと……」


私をからかって遊んでいるようにしか見えない彼に怒りをぶつけようとすると、スクッと立ち上がった彼が私の顎に手をかけるので、不覚にも胸が高鳴る。

だってこんなに美しい男性に、間近で見つめられたことなんてないんだもの。


「すみれちゃん。怒るとシワが増えますよ?」

「はいっ?」
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