イジワル副社長の溺愛にタジタジです
「ここ、少しごちゃごちゃしすぎだなぁ。お客さまが迷って、結局買わずに帰るなんてことになりそうだ」


彼が指摘したのは、口紅のディスプレイ。


「こっちの商品を前面に押し出してみて」


こうした指示は副社長の仕事ではない。
地域ごとに売り上げの傾向を調べ、営業本部の指示通り、売れ筋商品を置いているのだ。



「ですが本部から……」


責任者は眉間にシワを寄せる。


「いいのいいの。俺が言っておくから。まずはやってみな。ここは他の店と比べても売り上げの伸び率が大きい。さらに伸ばすには、新しい挑戦も必要だよ」

「そう、ですね」


彼が口紅のブースに目をつけたのは、カミラの新商品を気にしているからだろう。


「半年前に出したこの商品は持ちがいいと評判だ。これで勝負だ」


本城さんは指示を出す。

なるほど。
カミラのグロスの持ちの悪さにがっかりした人に、それを補える商品としてぶつけようというわけだ。


「いらっしゃいませ」


そのとき客がやってきて、「またあとで来る」と言い残した本城さんと一緒に、カウンターを離れた。
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