イジワル副社長の溺愛にタジタジです
彼は今度はスマホを取り出し、どこかに電話を始める。


「お世話になります。ドゥシャインの本城です」


その丁寧な言い方から、得意先なのだとわかった。


「――そうですか。それではすぐに伺います」


少し話した彼は、そう言って電話を切った。


「あの、なにか予定が入ったのですか?」

「うん、飯の」


彼はときどき理解不能だ。

どう考えても得意先の人との電話で、すぐに伺うと言ったのに、『飯』って……。
ランチを共にしながら仕事の話をすることはよくあるけれど、店の手配もしていない。


「行くぞ」

「は、はい」


再びエレベーターに乗る彼に慌ててついていく。

彼はこうして思いつきで行動することも多いので、その場合、私はなにをしたらいいのかわからない。
ただ右往左往してついていくだけ。

それでも、あとでこの経験を生かして今日のような会議の発言をしたりするので、同じものを見て把握していないと困るのだ。
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