イジワル副社長の溺愛にタジタジです
「お願いもなにも、ドゥシャインはカミラに迫る勢いがあるじゃないか」

「そうだけど、新しい口紅の投入にストップをかけたんだ。どうにも満足できる品質に達していなくて」


そんな企業秘密、安易に言っちゃっていいの?


「本城、それ、カミラにバラされたら困るだろ?」

「バラさないだろ?」


どうやらふたりの関係は強固なものらしく、真山さんも苦笑している。


「まぁ、な。バラしても東郷になんの利益もない。でも控えろよ。蒼井さんの顔が真っ青だ」


真山さんが焦っている私に気づいてくれた。


「蒼井。これは駆け引きかもしれないんだぞ。お前の表情で本当だとバレるだろ」


え……。
そんな高度な会話をしていたの? 

私には到底ついていけない。


「蒼井さん、さすがはドゥシャインの社員ですね。メイクが丁寧だ」


オロオロしていると真山さんはにっこり笑って、話の方向を変えてくれる。

たしかに、メイクだけは気を遣っている。

売場にいたからメイクの勉強は十分すぎるほどしてきたし、今も派手にならないようにそれでいて清潔に……と、毎日メイクには時間をかける。
もちろん化粧品会社の一員だからだ。

だから、真山さんに褒められてちょっとうれしい。
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