イジワル副社長の溺愛にタジタジです
「これは、『カミラ』が先日発売したグロスの売上と、消費者の意見だ。SNSで発信されたものから、小売店の店員に聞きとったものまでそろえてある」


カミラというのは、業界第一位のライバル社。
常に新しい商品を出して市場に刺激を与えていて、驚異的な存在だ。

そしてこの資料のソースは、本城さんが自ら集めたもの。

昨日、スケジュールの合間を縫うように突然出かけると言いだした彼は、自ら小売店に出向いて話を聞き、帰社してからパソコンを駆使して情報を集め、それを私がまとめた。


「カミラの売り上げは、発売直後急上昇したものの、すぐに落ち着いてしまった。それはこのグロスが落ちやすいという評判が出回ったからだと思われる」


消費者の声は売り上げに直結する。

発売当初は珍しさもあって売り上げは伸びるものだけど、その後も伸びていくか、はたまた失速していくかどうかは、商品によって異なる。

多額の開発費を投じて商品化したものは、売れ続けてくれなければ会社の利益にはならない。
だから、スタートダッシュがよくても手放しには喜べない。
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