イジワル副社長の溺愛にタジタジです
「本当ですね。カミラの製品は我が社も手に入れ、研究しました。その結果、たしかに我が社の製品と比べても持ちは悪いと出ています。この新商品はカミラの製品より持ちもよく期待できるのでは……」


商品開発部の部長が切りだすと、本城さんは首を振った。


「カミラより少し持ちがいいということだけでは武器にならない。カミラの二の舞になるぞ。消費者の欲求はもっと高いところにある。今回の発売は見送る。商品の質を高めてくれ」


本城さんのひと言は、会議室の空気を凍りつかせる。


「しかし、すでにCMの段取りも……」

「売れないものを次々と発売しても意味がない。ドゥシャインの価値が落ちるだけだ。あの会社の新製品なら間違いないと言われるようにならなければならない。これで会議は終了だ」


反対意見をあっという間に却下して会議を終らせてしまった本城さんは、ざわつく会議室を出ていく。

私も慌てて続きドアを閉めると、会議室の中から声が聞こえてきた。
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