イジワル副社長の溺愛にタジタジです
それなのに、余裕の笑みを浮かべる彼は、長い足をスタスタと動かしてどんどん離れていく。
足の長さが全然足りない私は、小走りにならないと彼についていけない。
「わっ……」
重役フロアまで行ったところで、足をひねって転んでしまった。
「ほら、言った通りだろ」
もう副社長室の前まで行っていた彼が、気づいて戻ってきてくれた。
あんなに啖呵を切ったのに、彼が言った通り転んでしまった私は、情けないやら恥ずかしいやらで顔を上げられない。
「困ったお嬢さんだ」
本城さんは呆れ顔をして私の前にしゃがみ込んだ。
「これ、もうダメだな」
彼が手にしたパンプスは、ポキッとヒールが折れてしまっている。
「あ……。お金ないのに……」
短大を卒業して四年間、百貨店のカウンター業務ひと筋だった私は、半年前、本城さんが副社長に就任したのと同時に、なぜか秘書を命じられ今がある。
それまでは制服が支給されていたので困らなかったけれど、秘書となると別。
スーツやパンプスを日替わりで着用できるようにいくつもそろえた。
だから、金欠になってしまった。
足の長さが全然足りない私は、小走りにならないと彼についていけない。
「わっ……」
重役フロアまで行ったところで、足をひねって転んでしまった。
「ほら、言った通りだろ」
もう副社長室の前まで行っていた彼が、気づいて戻ってきてくれた。
あんなに啖呵を切ったのに、彼が言った通り転んでしまった私は、情けないやら恥ずかしいやらで顔を上げられない。
「困ったお嬢さんだ」
本城さんは呆れ顔をして私の前にしゃがみ込んだ。
「これ、もうダメだな」
彼が手にしたパンプスは、ポキッとヒールが折れてしまっている。
「あ……。お金ないのに……」
短大を卒業して四年間、百貨店のカウンター業務ひと筋だった私は、半年前、本城さんが副社長に就任したのと同時に、なぜか秘書を命じられ今がある。
それまでは制服が支給されていたので困らなかったけれど、秘書となると別。
スーツやパンプスを日替わりで着用できるようにいくつもそろえた。
だから、金欠になってしまった。