キミと秘密の交換恋日記
その時間がゆっくりに感じられる。

ゆっくりに感じられるけれど、わたしの身体は素早く動くわけでもなくその場に倒れてしまいそうになるんだ。

その間に色々なことを考えてしまう。

こんなバカなことをしないでアレイのいうことを信じればよかったとか。また擦り傷ができてしまうなとか。こんな小学生みたいに転ぶのなんていつ振りなんだろうかとか。今日、お風呂入ったらきっと傷に沁みてしまうなとか。

多分、時間が遅く感じられるのはわたしの心の動きがとても速くなっているからなんだ。

このまま転んでしまってもいい。

わたしが転んでも、バスの時間を調べているアレイがものすごい音がして驚くだけだ。

あれ、それだけ?

たしか、一緒にいた人だったら多分家までついてきてお母さんに謝罪をするはずだ。面倒なことになるはずだ、きっと・・・。

面倒なことになる前にわたしは立ちなおさなければいけない。

でも、私の身体はどこにもその瞬間だけは力が入らない。

もう面倒なことを考えるだけなのは辞めて、ただ転んですぐに立ち上がるしかないのだろうか。

そうしよう。すべてを捨てる覚悟でわたしは地面一直線に落ちていくことにした。
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