【完】恋愛事情
「なぁ、はな?言えへんことは無理には聞かんけど。頼むから、隠し事はせんとってな?」
「ん…分かった………。あの……裕?」
「なに?」
「裕も、ね…?」
「オレは大丈夫や。はながおるもん。…好きやで?」
不意打ちで頬にキスをされて、ずきん、と胸が痛んだ。
これ以上優しくしないで。
惨めにさせないで。
心にいくつも棘が刺さってゆく…。
私が伝えたかったのは、「無理しないで」ってことじゃなくて。
「隠し事をしないで」っていうことだったのに…。
些細なスレ違いで、胸はどんどん重くなっていく。
この空の色よりももっとざらざらとした感覚で。