【完】恋愛事情
「あー…ほんま、あほやわ…オレ」
あんな、今にも泣きそうな顔をさせて、何してんねん。
大好きな子やぞ?
他にはおれへん子なんやぞ?
せやのに…。
「なんで、傷付けたのかも分からへんとか…ほんま、あほ以外あらへん…」
彼女をこのまま失ったら、オレの世界はどろどろと闇に溺れてしまう。
それくらい、好き、やのに…。
「もう、間に合わへんの…?」
振り返ることなく、駅のホームへ入って。
電車を待つまでのほんの数分。
だらだらと流れていく大粒の雨を、遠くに見つめながら…。
オレは、ただ、彼女のことを思った。