【完】恋愛事情



「あー…ほんま、あほやわ…オレ」




あんな、今にも泣きそうな顔をさせて、何してんねん。

大好きな子やぞ?

他にはおれへん子なんやぞ?




せやのに…。



「なんで、傷付けたのかも分からへんとか…ほんま、あほ以外あらへん…」



彼女をこのまま失ったら、オレの世界はどろどろと闇に溺れてしまう。


それくらい、好き、やのに…。




「もう、間に合わへんの…?」



振り返ることなく、駅のホームへ入って。
電車を待つまでのほんの数分。



だらだらと流れていく大粒の雨を、遠くに見つめながら…。


オレは、ただ、彼女のことを思った。


< 50 / 65 >

この作品をシェア

pagetop