【完】恋愛事情
「よう。華依。…ちゃんと寝たか?」
門を出ると、そこには何故か圭吾がいて。
あたしを気遣って、優しい笑みを浮かべてくれる。
「あ。おはよ。圭吾…」
「なんだよ。目が赤いじゃねぇか。…まさか、一晩中泣いてたんじゃねぇだろうな?」
「ち、違うよー。ちょっと色々準備しててあんまり眠れなかっただけで…なんか、昨日は色々混乱してたけど、今はもう、大丈夫だから」
吹っ切れたあたしのにっこりと笑う顔を見て、安心したかのように、微笑む圭吾。
「そうか。…華依、お前はそうやって、ずっと笑ってろよ…」
「うん…ありがとう」
「お前なら、絶対やれる。…じゃあ、頑張れよ。俺は先に行くから」
昨日と同じ様にくしゃり、と頭を撫でられて、不思議と元気が出てくる。
「ふふ…ありがとう。圭吾。あたし、頑張るね」
その声に黙って頷いて。
圭吾はそのまま先に学校へと向かって行った。
どうしても、先に行ってしなければいけないことがあるんだとだけあたしに告げて…。