空の色をおしえて


ドアの前に立ち、観客の人たちにお礼をしながら見送った。

次第に飽和状態だった教室内は、いつもの落ち着いた雰囲気を取り戻していく。

次の回に備えて、チケットの集計をとったり教室内を清掃したりと準備をする。


すべての仕事を終え、やっと一息ついた。
この後はずっと自由時間だ。

労働の後の心地よい疲労感を噛みしめながら、1番後ろの床にぺったりとしゃがみこんだ。


「お疲れ。俺も美咲のクラスなら良かったな」
隣から声を掛けてきた秋人は、あぐらのまままだ天井を見つめていた。



「秋人、来てくれたんだ。本当すごかったね、びっくりしちゃった」

と言いながらカニのような横歩きで秋人の隣まで移動する。



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