空の色をおしえて
いつの間にか夜は更けていた。
そしてこの時間のすべてをわたしの心に刻み込みながら、ゆっくりとゆっくりと朝へと向かう。
数時間後には徐々にあの水平線は赤く明るくなっていき、わたしたちを照らすのだろう。
2人だけの時間はそこで終わりを告げ、また平凡な日常に戻る。
まるで、今という時間が幻だったかのように。
急に眠るのが惜しくなって、鞄からスケッチブックを取り出した。
隣で小さな寝息をたてる秋人を、愛しげに見下ろす。
朝がきてしまう前に、夢から覚めてしまう前に、この瞬間を切り取ってそこにおさめよう。
美しく流れる星たち。
風に舞う白い砂。
揺れる水面。
息を飲むほど綺麗な、秋人の寝顔。
絶対に、忘れない。