空の色をおしえて


次の日。
校内での秋人は終始いつもと何も変わらない様子で、まるで昨晩のことは夢だったんじゃないかと思うほどだった。


そして、卒業したら秋人と離ればなれになるという事実は、わたしの心の真ん中に静かに根を下ろしていた。

激しく抗って、ぶつけて、思いを重ねて。
そうすることで、現実から逃げようとするわたしは、もういなくなったみたいだ。

本気で秋人の夢を応援したい。
今ならそう思える。


母さんには夜のうちに『綾乃の家に泊まる』とメールをしておいたから、特にお咎めはなさそうだった。

嘘をついてしまったことに少し心が痛んだけど、男の子と一緒にいたなんて口が裂けても言えない。




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