空の色をおしえて


「綾乃、名前使わせてくれてありがとね。助かったよ」

気恥ずかしくて、休み時間にこそっと話しかけた。


「構わないけど……何があったかは、話したくなったらいつかおしえてよね」



「え、聞かないの?」




「なんかただ事ではない気がして逆に聞けないわ」


「ありがと……ごめんね」


色々と聞かれることを覚悟していたわたしは、予測しなかった返事に拍子抜けしてしまった。

本当はすごく気になっていると思うのに、聞かないでいてくれる優しさが嬉しい。


昨晩のことは、わたしにとってはとても大切な時間で、秋人と2人だけの秘密にしたかった。

隼人君も不自然なくらい何も聞かなかったし、わたしたちも暗黙の了解とでもいうのか、その話題には一切触れなかった。






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