空の色をおしえて
その日学校から帰るとすぐ、寝ている母さんを叩き起こし、専門学校に行かせてほしいと改めてお願いした。
パンフレットはすでにネットを使って取り寄せてある。
『清宮アート専門学校』
──俺は絶対に夢をあきらめない。だから美咲も諦めちゃ駄目だ
秋人の言葉がわたしに勇気をくれた。
親に反対されたくらいで諦めるのなら、最初から目指さないほうがいい。
これから夜勤だと言う母さんを無理矢理引き留め、心の内をすべて打ち明けた。
納得してくれるまで、何度でも話し合うつもりだったけど、意外にも決着は一晩でついた。
母さんは観念した様子で「最初からこうなることは分かってたわ。頑張りなさい」と言ってくれたのだ。
なぜ急に承諾してくれたのかを問うと「今までで1番、本気の目をしているから」と母さんは答えた。
そしてそれ以上は何も言わず、渡した専門学校のパンフレットを鞄に入れて仕事へ行った。