空の色をおしえて


母さんの気持ちは痛いほど分かっている。

わたしを心配してくれているからなんだと理解出来ないほど、もう子供ではない。
 

生活に余裕があるわけではないのに、わたしの進学のための資金は、今も手をつけずにとってあるみたいだった。

でもひとつだけ勘違いをしている。

秋人がいなくなったことで、なげやりになっているわけじゃない。

いないということは紛れもない事実で、この3年間で嫌というほど痛感させられていた。

現実に抗う力は、もう少しも残っていない。


強いて言うなら、秋人を失ったあの日を境に、この目に写る何もかもが色を失っただけ。


描かないんじゃない。
描けないんだ。


陳腐な言い方だけど、
キラキラと輝いていた世界は、あの瞬間にすべて終わりを告げた。ただそれだけのこと。




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