空の色をおしえて








カランカラン──


扉が開くのと同時に、つけられた鈴が店内に響く。


「いらっしゃいませー」


「なんだなんだ~元気ないぞ!せっかくあたしが会いに来てやったというのに!」 


入ってくるなり店内の空気を一気に明るくするのは、吉井綾乃だった。


「いつも元気だね綾乃は。もうすぐ休憩だから、ちょっと待ってて」

「おっけー、じゃああたしコーヒーだけもらおうかな!」


綾乃は同じ高校の友達で、今でも時々会ってお互いの近況を報告し合ったりする仲だ。

花の女子大生になった彼女は、勉学よりもサークルや合コンで毎日忙しそう。


近頃は頻繁に会いに来てくれるのだが、今までに増して覇気の失せたわたしを心配に思ってのことだと思う。

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