空の色をおしえて







「美咲ちゃん!」










わたしは駆け出していた。

その場に鞄を放り、パンプスすらも置いてきぼりにして。
溢れ出す思いに突き動かされて、思い切りアスファルトを蹴る。


風を切るその速度に、涙は雫となって後ろへとキラキラこぼれていった。



あなたはその場に立ち止まり、大きく腕を広げ、予想通りの優しい微笑みでわたしを待つ。



心から会いたかった。
とても大切で愛しい人。



そうしてわたしは思い切り高く飛び、あなたの胸へと飛び込んだ。





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