【短編】生け贄と愛
***
泊まるということでロゼに風呂の場所や貸す部屋を教え、家の中を案内してから、シルヴェスタはもう一度ソファに座った。
ふう、と一息ついてからすっかり冷めてしまった紅茶に口をつける。
真っ赤な髪の少女。
珍しい拾い物をしたものだ。
シルヴェスタの住む町で赤はタブーだ。
彼自身は血が身近にあるのでそれに染まることはないが、この辺りの赤嫌いは極めつけだ。
そんな町で今まで暮らしてきて、よく生きていたなと感心する。
しかし、あの女も馬鹿だなと彼はまた冷たい目をする。
アメジストの瞳に氷のような凍てついた光が宿った。
こちらが甘い顔をすれば、すぐに心を許してしまう。
また、気になることもいくつかあった。
あの血の香り。容姿の美しさ。聡明さ。
どこか人間離れしているから、酷い扱いを受けてきたのだろう。
「愛されたい、か」
必死な顔で彼女が口にした言葉。
少し自分と似ている点を見つけたようで、シルヴェスタは顔をしかめる。
獲物は獲物。
情に流されて自分の身を危うくするほど、自分は馬鹿ではない。
己に言い聞かせるように心の中で唱えてから、シルヴェスタはゆっくりと席を立った。
泊まるということでロゼに風呂の場所や貸す部屋を教え、家の中を案内してから、シルヴェスタはもう一度ソファに座った。
ふう、と一息ついてからすっかり冷めてしまった紅茶に口をつける。
真っ赤な髪の少女。
珍しい拾い物をしたものだ。
シルヴェスタの住む町で赤はタブーだ。
彼自身は血が身近にあるのでそれに染まることはないが、この辺りの赤嫌いは極めつけだ。
そんな町で今まで暮らしてきて、よく生きていたなと感心する。
しかし、あの女も馬鹿だなと彼はまた冷たい目をする。
アメジストの瞳に氷のような凍てついた光が宿った。
こちらが甘い顔をすれば、すぐに心を許してしまう。
また、気になることもいくつかあった。
あの血の香り。容姿の美しさ。聡明さ。
どこか人間離れしているから、酷い扱いを受けてきたのだろう。
「愛されたい、か」
必死な顔で彼女が口にした言葉。
少し自分と似ている点を見つけたようで、シルヴェスタは顔をしかめる。
獲物は獲物。
情に流されて自分の身を危うくするほど、自分は馬鹿ではない。
己に言い聞かせるように心の中で唱えてから、シルヴェスタはゆっくりと席を立った。