【短編】生け贄と愛
「あそこで泣くお前を見て…嫌だと思った。あんな顔をさせたくないと思った。でも俺はわざと酷いことを言って…自分を保とうとした」
ロゼ、と彼がまた名前を呼ぶ。
心が甘く震える。
「俺は……お前と、一緒にいたい」
到底信じられない。信じられないのに。
どうしてこんなに涙が出るの。
「ごめん」
「何に、謝ってるの」
「愛してくれなんて、言わないから」
何を言っているのかと、ロゼは彼の腕の中で怪訝な顔をする。
「俺と一緒にいてくれないか」
意味が分からない。支離滅裂だ。
今さらそんなことを言うなんて、卑怯だ。
「俺のエゴだ。前みたいに、怪我が治るまででも良いから…傍にいてくれ」
そればかり繰り返すシルヴェスタ。
ロゼはそっと彼の背中に腕を回した。