明日、君を好きになる
『渚ちゃん、お店は?』
『咲ちゃんに任せてきたから大丈夫。それより、熱はどう?ちゃんと食べてるの?』

言いながら、勝手知ったる我が家のように入ってきては、リビングダイニングの入り口近くにある、小さめのカウンターキッチンに向かい、冷蔵庫を開けては買ってきたものを入れ始める。

『栄養つくもの、なんか作ってあげるわね。エリィは、ゆっくり寝てて』
『もう、寝すぎたくらい寝たよ』
『そう、それなら良かった。何度かメッセージ送ったんだけど、なかなか既読にならなかったから、ちょっと心配してたのよ』
『あ~ごめん、本当に爆睡しちゃってた』

寝室から持ってきたスマホを確認すると、確かに渚ちゃんからのメッセージがいくつか入ってた。

『珍しいわね、あなたが、熱出すなんて』
『うん、久々に“熱がある”って感覚、思い出した』
『…そういえば、エリィ、いつだったか皆勤賞、取ってたもんね』
『それ、いつの話よ』

苦笑いしつつ、中学の3年間、無遅刻無欠席の皆勤賞をもらったことを思い出した。

身体の丈夫さには、少し自信があったのだけれど、やはり年齢と共に弱くなっていくものなのかもしれない。

一応朝あったふらつき感もなく、半日ぶりに熱を測ると37度を下回り、ほとんど平熱に戻っていた。

まだ本調子ではないものの、とりあえず回復に向かっていてホッとした。

キッチンでは、早速、何かを作り始めてる、渚ちゃん。

手伝おうとすると、“病人はおとなしくしてるように!”と叱られた。

仕方なくリビングのソファに座り、キッチンに立つその姿を見ながら、“男の人なら渚ちゃんのこんな姿、堪らないんだろうなぁ…”などと、ぼんやり思考を巡られてしまう。
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