春が来たら、桜の花びら降らせてね

「夏樹君は、傷つけたことを何年も後悔して生きてきたんだね」

そんな人が、私を蔑んだ人たちの中にもいたのかな。

なんて、そんなことを考えた。
そうであってほしいという願望かもしれない。

私にしたことを悔やんで、夏樹君のように誰かに優しくなれる、そんな人になってくれたらいい。

そうすれば、あの辛い日々も無駄ではなかったのだと、思えるような気がしたからだ。

「夏樹君は確かに昔、その子を傷つけてしまったかもしれない。だけど今は、こうして私の心を救ってくれてる」

「俺は……冬菜を救えてるのか?」

「うん、もちろんだよ」

君がいなければ、私はきっと、こんな風に穏やかな気持ちで笑えなかったと思う。

「そうか……そっか」

夏樹君は、やっぱり泣き笑いだった。
だけど、今は少しだけ嬉しさも混じっているように見える。

私たちの間に吹く風が、少しだけ優しくなった気がした。

< 114 / 277 >

この作品をシェア

pagetop