春が来たら、桜の花びら降らせてね
「夏樹君は、傷つけたことを何年も後悔して生きてきたんだね」
そんな人が、私を蔑んだ人たちの中にもいたのかな。
なんて、そんなことを考えた。
そうであってほしいという願望かもしれない。
私にしたことを悔やんで、夏樹君のように誰かに優しくなれる、そんな人になってくれたらいい。
そうすれば、あの辛い日々も無駄ではなかったのだと、思えるような気がしたからだ。
「夏樹君は確かに昔、その子を傷つけてしまったかもしれない。だけど今は、こうして私の心を救ってくれてる」
「俺は……冬菜を救えてるのか?」
「うん、もちろんだよ」
君がいなければ、私はきっと、こんな風に穏やかな気持ちで笑えなかったと思う。
「そうか……そっか」
夏樹君は、やっぱり泣き笑いだった。
だけど、今は少しだけ嬉しさも混じっているように見える。
私たちの間に吹く風が、少しだけ優しくなった気がした。