春が来たら、桜の花びら降らせてね

「えーと、まだ残ってた、ほらよ!」

「え……あ!」

突然ヒョコッと立ち上がった夏樹君の手には、手のひらサイズの雪だるまがいた。

「か、可愛いっ」

目には石ころが埋まっていて、鼻と手は小枝が使われていた。

私はそれを、両手で受け取ると、ひんやりとする感覚につい、笑顔がこぼれる。

雪だるまから伝わる冷たい感覚に、ワクワクした。

「よーく見ろよ、冬菜」

「え?」

夏樹くんに言われて雪だるまを凝視すると、その首には、マフラーの代わりにシルバーに光るペンダントがある。

「これ……」

それを手で掬うと、桜のモチーフになっていた。

「冬菜、時々不安そうな顔すんだろ」

「あ……」

それは、この幸せが消えてしまうんじゃないかという不安。

私、顔に出てたんだ。
それに、夏樹君が気づいてくれていたことに驚く。

「でもな、何度季節が巡って春が来ても、俺たちはずっと一緒だ。そんな意味もこめて……その、なんか冬菜にあげたくてさ」

夏樹君……私を安心させるためにこれを……。

どうしてかな、胸が熱くて、いっぱいになって、泣きそうになる。

< 275 / 277 >

この作品をシェア

pagetop