春が来たら、桜の花びら降らせてね
「えーと、まだ残ってた、ほらよ!」
「え……あ!」
突然ヒョコッと立ち上がった夏樹君の手には、手のひらサイズの雪だるまがいた。
「か、可愛いっ」
目には石ころが埋まっていて、鼻と手は小枝が使われていた。
私はそれを、両手で受け取ると、ひんやりとする感覚につい、笑顔がこぼれる。
雪だるまから伝わる冷たい感覚に、ワクワクした。
「よーく見ろよ、冬菜」
「え?」
夏樹くんに言われて雪だるまを凝視すると、その首には、マフラーの代わりにシルバーに光るペンダントがある。
「これ……」
それを手で掬うと、桜のモチーフになっていた。
「冬菜、時々不安そうな顔すんだろ」
「あ……」
それは、この幸せが消えてしまうんじゃないかという不安。
私、顔に出てたんだ。
それに、夏樹君が気づいてくれていたことに驚く。
「でもな、何度季節が巡って春が来ても、俺たちはずっと一緒だ。そんな意味もこめて……その、なんか冬菜にあげたくてさ」
夏樹君……私を安心させるためにこれを……。
どうしてかな、胸が熱くて、いっぱいになって、泣きそうになる。