素直になるのはキミにだけ
_ピーッ!!


あたしたちの気持ちなんか関係なく、試合終了のホイッスルは鳴らされる。




「終わっ…た…?」




終わってしまった。

……先輩たちの、最後の夏が……




キャーと大歓声の上がる桜坂側の観客席。

泣きながら抱き合う生徒、部員……




その声が、あたしたちに容赦なく “ 負け ” という現実を突きつける。



茉夏とつないでいた右手からは力が抜け、左手の手のひらからは血が出ている。




爪痕……あたし、そんなに強くこぶしを握ってたの…?


「……」





……でも、痛みは感じなかった。

< 175 / 313 >

この作品をシェア

pagetop