私の二人の神様へ



 待たせるわけにはいかないと十五分前に行くと、すでに榊田君はいた。


 探さなくてもわかるのは、女の子の視線。


 人が多い待ち合わせ場所を選んだのは間違えだったかも。



「榊田君。ごめん。待たせちゃったね」



 私が席に座ると、女の子の視線は私へと移る。


 人並みの顔の私が彼女ということで、何人もの女の子たちが、これなら私もいけるかもと榊田君に群がっているという話を聞いた時、私は大層憤慨した。


 事実だとしても、私に失礼ではないかと思う。



 ……事実なのは認めるが。


 榊田君の彼女になる前は憤慨しながらも、仕方がないと思っていたけど、彼女になった今では少しでもお似合いだと言われたくて、二人きりで会う時は身支度に時間をかける。


 もちろん、榊田君にも可愛いとか綺麗とか思って欲しいからでもあるわけで。


 でも、榊田君にとってはどうでもいいことのよう。


 私的には浴衣姿はなかなか様になっていた。


 そんな浴衣姿にも無反応だったから、もう諦めている。


 榊田君は顔に出すタイプじゃないけど、その微妙な変化を私は感じ取れる。


 そんな私が目を凝らしても、まったくの無反応なのだから泣けてくる。


 彼が反応を示したものと言えば、焼き鳥にお好み焼き、焼きそば……


 つまりは食べ物だけだった。


 だが、仁くんは似合う、と浴衣の時だけじゃなくていつも褒めてくれるから、榊田君の時もめげずにオシャレをしている。



「俺も今着いたとこ」



 水とお手拭きも用意されていないから本当のようだ。


 ケーキセットをお互いに頼んでから私は頭を下げた。




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