私の二人の神様へ
「昨日は連絡入れなくてごめんなさい。榊田君のおかげで合格できたのに。ごめんなさい」
「すぐに採用面接で忙しいのはわかってたから気にしてない」
「それでも、終わったらすぐに連絡を入れるべきだった」
「どうせ、仁と会えるから浮かれてたんだろ?」
ここまで読まれてる。
仁くんと会ったなんて一言も言ってないのに。
どう答えれば、良いのだろう。
仁くんには合格発表と同時に電話したのに、榊田君には連絡さえしていない事実は言い訳しようがない。
言葉に一瞬詰まった間にケーキと飲み物が運ばれてきた。
その間に、考えるが、やはり何と言えば良いのかわからないで揺れるオレンジジュースを見る。
「これ、お前の奢りな。それでチャラ」
ケーキを口に放り込みながら榊田君は言った。
ぱっと顔をあげると、無表情でもぐもぐ口を動かしている榊田君。
本当に彼は優しい。
私にはもったいない。
こういう負担に思わせない気遣いができる榊田君は本当にできた人。
不釣り合いだと言われるのは、やっぱり仕方ないかも。
「大好き」
まっすぐ彼の顔が見れなくて俯いたまま言い、こんな彼を恋人にできた幸せを噛み締めた。