私の二人の神様へ
ちょうど、おやつの時間だからと榊田君は勝手に冷凍庫からアイスを二本取り出し、ベッドの脚に寄りかかった。
私は榊田君から一本アイスを取り上げ、凄んでみせた。
「で、榊田君。どうして、来たの?」
「何だよ?恋人の家に来たらいけないのかよ?」
アイスを舐めながら、私を睨み付けてきた。
「昨日、来るなんて言ってなかったじゃない?」
というか、むしろ、二人で楽しめば良い、という寛大なニュアンスとして私は受け取っていた。
「気が変わった。水野の飯が食いたくなったんだ」
素直にそう言われると、言葉が詰まる。
だがここで、はいそうですか、と納得して仁くんと鉢合わせになるのは避けたい
「なら、早めの夕食にしない?」
努めて笑顔を作って、提案してみたら、榊田君を不愉快にさせたようだ。
アイスの冷たさよりも榊田君の発する冷気に背筋が凍った。
せっかく、仲直りしたばっかりなのに。
「そんなに、仁と二人きりになりたいのか?」
「そういうわけじゃ……」
「俺が邪魔なんだろ」
榊田君がアイスの棒をごみ箱に捨てると立ち上がろうとした。
「違うの!」
私は慌てて、榊田君に抱きつく。
「だって、二人とも喧嘩するでしょ?佳苗さんいないし。私だけじゃ」
榊田君は私をそっと引き剥がして、不機嫌さを隠さずに言った。