私の二人の神様へ
「あいつの顔を見たら、喧嘩をせずにはいられないんだ」
「なら見なければ良いでしょ?」
「あいつだって俺に喧嘩を売ってくる。あいつに説教しろよ。たまには年上らしい貫禄みせろってな」
「仁くんが無理だって言うから榊田君にお願いしてるの。仁くんが喧嘩売ってきても買わないで!」
「俺も無理。言っただろ?あいつの顔を見ると虫唾が走るんだ」
彼の目をまっすぐ見つめて言ったが、あっさり拒絶された。
がっくり肩を落としながらも、諦めずに説得を試みた。
「だから見なければ良いでしょ!?」
「……おい。何で仁の無理にはあっさり納得して、俺にはごねるんだよ?」
「だって、仁くんのは解決しようがないもの」
「はぁ?」
「仁くんは榊田君と同じ空気吸ってると自然と悪態を吐いちゃうんだって」
「…………」
「ね?空気を吸うなとは言えないでしょ?死んじゃうもん」
「……水野。お前、いい性格してんな」
「えっ?そうかな?ありがと……ひぃた~い!」
途中で口を引っ張られた。
「何、真に受けてやがる。この馬鹿が!」
榊田君は、ふん、と鼻息荒くそっぽを向いた。
「と、とにかくわかってくれた?せっかく心を込めて作った料理だもの。おいしく食べて欲しいの」
榊田君と目が合わさり、そらさないでまっすぐ見つめる。
すると、榊田君が降参するようにため息を大きく吐いた。
「……わかった。善処する」