私の二人の神様へ
それがいたたまれなくて叫んだ。
「わ、わかってるわよ。無神経だって言いたいんでしょ!?でも、約束だからね!無視はやだ!」
「……水野。来い」
榊田君は手招きした。
「やだ」
「お前に拒否権はない」
仕方なくクッションを抱えたまま榊田君に近づくとクッションを取り上げられた。
「あっ!!返して!」
クッションは防御道具なのに。
「確かに無神経極まりないが、その正直さは悪くない」
榊田君の手の中にあるクッションを取ろうと伸ばしていたら、彼に逆に手を取られ抱きしめられた。
その途端に思考は停止し、一緒に身体が固まった。
心臓だけが駆け足なのがひどく不釣り合い。
榊田君に顎を掴まれたと思うと、軽くキスを落とされる。
「キスして欲しかったんだろ?」
そう言って、私が固まっているのを気にすることなく、また唇を塞がれた。
久しぶりの感覚に感情が高ぶる。
キスが深まるにつれ、榊田君の首に回した腕にも次第に力が抜けていく。
それでも榊田君が欲しくて、必死に力を入れてしがみついた。
長くも短い口付けが終わり、そのまま彼の胸に寄りかかった。
いつも不思議に思う。
苦しいのにもっとキスして欲しいと思ってしまう自分の気持ちに。
今でも不思議だけど、それは好きな人となら当然の気持ちだと、すんなりと思えた。
榊田君が私を離そうとするのがわかり慌ててしがみついた。