私の二人の神様へ








「そういえば、榊田とモデルはどうなったんだ?付き合い始めたのか?」



 この間、仁くんと佳苗さんに、榊田君がモデルに言い寄られている話はした。


 私は、その結末を伝えていなかったことに気づき、笑いながら事の顛末を伝えると仁くんは思いのほか不機嫌だ。



「あいつも本当にしつこいな。いい加減、身を引けよな」



「仁くんは、どうして、そんなに榊田君を敵視するの?」



 私と仲が良いのが気に食わないらしいけど、同郷の寛太にはここまでではなかった。



「簡単だ。小春を惑わす存在だからだ。今もあいつのことで悩んでるだろ?」



 別に驚くことではない。


 仁くんは私のことなんて、何でもお見通しだ。


 しかし、隠し事ができないな、と短くため息をこぼした。



「悩んでるけど、自分が蒔いた種だし。榊田君が悪いわけじゃない」



「困らせてるのには変わりない。小春。あんなガキが好きなのか?」



 仁くんは私をまっすぐ見た。


 ぼんやりとした照明が、彼の淡い雰囲気と妙に合っている。


 違うか、彼ならどんな場所でも魅せられるのだ。


 淡いのに、存在感がある。


 茶色かかった瞳に私はどんな風に映っているのだろうか?


 いまさら、そんなことが気になった。


 仁くんに、他の人を好きになった、なんて言う時が来るなんて思いもしなかった。


 私の世界には仁くんだけで。


 ずっと、仁くんだけの世界で生きていけると思っていたから。


 私も、まっすぐ彼を見て、掠れないように揺るがないようにゆっくりと自分に言い聞かせるように。



「うん。榊田君のこと好きになったみたい」






















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