私の二人の神様へ





 一年以上前、私は大失恋をした。


 私にとっては、その人が全てだった。


 榊田君はそんな私を見て、崇拝しているなんて良く言う。


 確かに、私にとって神様のような存在だったのかもしれない。


 それほど、私は彼を愛していたし、今でも変わらない。


 何もかもを、その恋だけにかけていた、命をかけていた。


 そんな何もかもを捧げた恋は叶わず、彼は別の人と結婚し、来年には父親になる。


 私の人生をかけた恋だった。


 だから、今でも泣きたくなる。


 というか、泣いている。


 目が、いや、身体が溶けるほど泣いたことも二度ほどある。


 その人に抱きしめられながら、泣いた。


 消えてしまいたいと思うほど辛いと思う時も未だにある。


 けど、こうして普段通りに生活できているのは榊田君のおかげだ。


 榊田君が私のことを好きだと言ってくれて、大事にしてくれる。


 彼は私にとって拾う神だ。


 私を好きだと言ってくれる彼がいることで、今の自分を保てているのかもしれない。


 今の自分を否定しないで済んでいる。


 彼が、私のことを好きではなかったら、私は今頃どうなっていたのだろうか?


 人生をかけた恋が叶わなかったことが、私を脆くした。


 自分の努力が無意味なものに思えたし、自分を嫌いになりそうだった。


 目標が、夢が、途絶えて、宙ぶらりん。


 でも、榊田君が今の私を好きだと言うならば、好きでいてくれる私でいたいと今ではそう思っている。


 彼は私を生かしてくれた、私にとって特別な人だ。


 とっても、大事な人。


 それなのに、私は彼の気持ちに応えられないでいる。














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