私の二人の神様へ

看病と代理






 冬休みは期間も短いこともあって、あっという間に終わった。


 紙飛行機命名の発表があってから、私は勉強をしつつ、合間に名前をうんうんと考えた。


 生まれてくる子は女の子。


 あまりに可愛過ぎる名前も、あれだし。


 難しくて読めないのも、あれだし。


 候補を出しては消しての繰り返し。


 妥協は許されない。


 そんな私に対し榊田君の睨みは十倍増しで、勉強は疎かにはできない。


 それでも隙をみては考え、ようやく納得する名前が決まった。

















 そして、予定日より数日早かったが佳苗さんは無事女の子を出産した。


 病院に駆けつけることはしなかった。


 一週間もしないで退院するから焦る必要もないし、目下、榊田君の看病をしなくてはならない。


 彼はインフルエンザにかかり、高熱で唸りながらベッドで寝ている。


 いや、唸ってはいないし大人しいけど。


 それでも不快そうに汗を掻きつつ、寒いのか布団を巻きつけている。


 彼はそんな状況でも偉そうに帰れ、と言う。


 もちろん、私が従うことはない。



「病人が意地張ってないの!睨んでも全然迫力ないわ」



 結局、気力がない榊田君は四回言ったところで諦め、おかゆと卵焼きを所望した。


 榊田君が寝ている間は、勉強をしたり、紙飛行機の練習をしたりと過ごした。


 そして、インフルエンザ発症五日後、佳苗さんの出産日から三日後、彼は元気を取り戻した。


 そして出産日から五日後、佳苗さんと赤ちゃんは退院し、その日に今度は私がインフルエンザにかかった。











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