浅葱色の忍
慶応3年  春
伊東と共に、門限を破った
永倉と斉藤が、謹慎になった


それぞれ別の蔵に入れられ
山崎は、永倉の担当になった



「伊東さん… やっぱ脱ける気だ」


「俺は、伊東さんにいてもらいたい」


「!!!お前、烝華を売った奴だぞ!?」


「それでも…
新選組がバラバラになるんは、嫌や…」


「元々、バラバラだったんだ」


「藤堂さんは、一緒やったやんか!
伊東さんは、どうにも信用でけへん
でも、藤堂さんと離れるんは、嫌や…」


「まだ、わからねえだろ」


「藤堂さんは、優しいから…
烝華の事、めっちゃ気にしてて
多分、ついてくはずや
伊東さんのお目付役をしようとする」


「だとしても、俺らの仲が崩れたりはしねえ
平助の事は、俺らがよく知ってる!
離れても、アイツは、アイツ!
伊東さんの命令だとしても、曲がったことはしないさ!信念貫く!そういう奴だ!
烝華の為に、自分を殺す奴じゃねえ!」


「永倉… 俺、今めっちゃ羨ましい
試衛館の繋がりって、凄いから」


「お前も仲間なのに?」


「へ?」


「お前、年上のくせに
自分のことは見えねえのか?
繋がってんのは、皆
近藤さんに救われた奴だ
それに、試衛館って名がついてるだけ」


「永倉も、救われたんか?」


「おう 原田も、平助もな!
一だってそうだぜ?」


「伊東さんは、救えなかったってこと?」


「伊東さんは、悩んでたりしてねえだろ
やりたいことやってんだ
芹沢さんみたいに、誰かの為ならまだいい
ありゃ、自分の為だな
思想を貫くってより、上に立ちたいみてえ」


「永倉 さすがやな!」


「まあな」



山崎と吉村が、伊東から離れてから
永倉が伊東と仲良くなり
見張り役をしてきた



「烝華の事、気づいてやれなくて…
悪かったな」



「伊東さん以外に謝られると
変な気分やねん!
過ぎたことやし、烝華も大丈夫やって
笑っとったから気にせんでええって!」



「いや、伊東さんが烝華と山崎が
同一人物じゃないかって言った時
もっと否定するべきだった」



「はははっ 余計怪しまれるで?」



「そうだな… お前ら兄妹
顔は、似てるけど性格は、違うもんな!
俺が、それを上手く説明出来なかったから
試したんだろうけど…
山崎を怒らすと怖えってことが
よくわかった」



「そりゃどーも!
さて、飯も済んだようだから
またな!」



「おう ご馳走さん」

















< 122 / 264 >

この作品をシェア

pagetop