浅葱色の忍
数日後の事だった



歳と話をしていると
なんと!
梅沢様が、わざわざお見えになった



何事かと



歳と顔を見合わせ、客間へ


「すまん… 烝と話せるか?」


元気のない、その声色に
嫌な予感がする


また烝を貸して欲しいとか言いそうだ


喉がゴクンと鳴る


歳が、烝を呼びに行き戻る

「おぉ 烝!」

「うわっ 客って梅沢?どうしたの?」


梅沢様は、ゆるゆると頭を下げ


「殿が… 恵を気に入ってな…」


恵は、お恵ちゃんは、男

慶喜様は、ご存知ないのだろうな



「恵は、俺のだって慶喜に言っとけよ」


「言ったんだ!言ったが… その…」



あぁ 男だとは、言ってないわけで
しかも、歳も知らないから



「ちゃんと言えよ!恵は、やらない!」


「恵が、とても喜んでな… 乗り気なのだ」


「「「 は? 」」」



予想外すぎて…


いやいや、お恵ちゃん!男だろうに!




「あん…の…野郎……」



烝が、呟いた




うまく嫉妬心と歳が勘違いしてくれて



「梅沢様に任せきりで、ほったらかすからだ
会いに行って来いよ」





烝が城に、行くことになった




結局、行くのか




寂しく想ったが、その日の夕餉前には
屯所に戻っていた


少し散歩をしようと誘われた







「恵を大事にしてくれてて
男と知っていて、嫁にって言ったらしい
守りたいんだと…
恵は、俺より女みたいだし
守られたーいとか、喜んでた
勝手にしろって、言ってきた」






烝が、拗ねていた












烝も守られたかった?


それとも


恵を盗られたから?



どちらへの嫉妬心なのだろうか







「なぁ 勇は、俺が男と女
どちらがよかった?」


「どちらでも良かったよ
私には、烝が必要ということに
変わりは無いからね!」



烝が、満面に笑みを浮かべ



「ホンマ!? 良かったぁ~!」



どうやら、羨ましかったらしい


「聞くまでもない」


「聞きたかった!
慶喜も恵も、そういう気持ちを
言葉にしてた!
ええなぁ~って
疑ったとかちゃうで?
勇の気持ちを、言葉として貰いたくて!
せやから、聞けて良かった!」



屯所でなく、2人きりなら
抱きしめたいところだ…

なんと、可愛い…






「おーい!飯だぞ!!」





2人で、散歩出来ただけ、マシか…









< 135 / 264 >

この作品をシェア

pagetop