浅葱色の忍
任務を終えて戻った山崎は、副長に報告し
すぐに藤堂さんのところに行った


尾形と後をついて行った



「コレ、平助から…」


永倉さんから
血のついた風呂敷を渡された


藤堂さんの額の傷を撫で

風呂敷から新選組の羽織を出した



「なんで2枚あんねん…」


「コイツ、よく破くから…」



1枚を藤堂さんにかけ
もう1枚を山崎が羽織った


「遠慮なく貰うな…」



永倉さんが、山崎の頭をトンとつき


「似合ってんぞ!」


泣きながら笑った


「へへっ そか」


山崎も笑った



山崎は、表立つことがないから
羽織を持ってなかったんだと
今、気がついた



「藤堂さん!おおきに」




翌日





尾形と山崎と俺で、屋根上へ



「どないしたん?」



わかってるくせにと思いつつ


「組割りの事だけど…」


「組割りやったら、この前決まった通りや」


「まだ納得出来てなくて!
尾形もだし、俺も!」


「尾形… 俺は、俺や!
女だとしても、今まで通りやさかいな!」


「勝手に進めるな!!
ちゃんと、話せよ!!」


「ちゃんとって……皆に女て、言えてこと?
副長が知ったら追放やん
そんな、邪魔か?」


「…尾形は、山崎から聞きたかったんだろ?
山崎は、新選組にいたいんだろ?
そういうの話したら?」


「……」


「……」



なんで黙るんだよ!!!








山崎が、天を仰ぐ



「言うよ…
俺が追放になったら…
新選組をよろしくな…」




山崎が屋根から降りるのを追い

集まっている幹部の部屋へ



慌てて尾形も追ってきた



「あの……」



入口付近に立ったまま
顔も上げられず、今にも倒れそうな顔色



「俺……」




「山崎!!やっぱりいい!!
すみませんでした!!」


尾形が俺と山崎をグイグイ引っ張る





「言いたくなってからでいい!!」



ぐにゃっと崩れる山崎を支えた



俺の腕の中では、すでに意識がない



「山崎にとって、新選組はやっと見つけた
居場所なんだ
ここを出て行けとか言われたら
多分… 今度こそ… 死ぬかも…」


「強いんだか、弱いんだか…
不思議な人だな…」


「本当に… 尾形… 山崎の事」


「言わない
ここに居てもらわないと
まだ教えて貰いたいことあるし」




どうにか、仲直りが出来た




「可愛くねぇな!!」


「結構や!!フンッ」




1日のうち、仲直りと喧嘩を繰り返して
2人は、本当に気が合うんだと納得した




「副長 山崎と尾形を組ませるべきです
尾形なら、山崎を止められるかもしれませんから!」





「吉村が言うなら、間違いないな」








2人して、嫌だと言いつつ


組むことになった








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