浅葱色の忍
風邪をひいている間


食事を食べるよりも寝たいと


ひたすら寝ていた



「カワイイ」



そんな言葉が口から出てしまい



「烝の可愛さが、総司にもわかるか?
そうだろう?烝は、本当に可愛いからね!」


満足そうに近藤さんが笑った



「屯所に戻れば男ですよ ククッ」



吉村君が言うと



「男に見えないんだがね……」



近藤さんの言葉で、まさかと思いつつ



「近藤さん、女の子だと知ってて
新選組にいれたんですか!?」


「そうだよ」



あぁ 近藤さんらしい




「最初に出会った時、僕も一緒だったのに
わからなかったなぁ ゴホッ」



ついつい普通に喋ると、咳がどんどん出る


不思議なのは、咳が出ると
背中を擦るのは山崎君

寝てたはずなのに


山崎君に擦ってもらうと楽になる


肩に重みを感じ、見ると
擦りながら寝たらしい


器用だ…



山崎君は、少し世話がやける

吉村君が寝かせようとすると

「スケベ…」  と、言う


僕が、横にしてあげると


「おおきに」


素直に御礼を言って笑う



「総司に子供扱いしてもらえて
よほど嬉しかったんだろうね!」



なるほど


だったら、もっと甘やかしてあげますよ





お粥を食べさせたり

肩をトントンと叩いて寝かしつけたり



「看病してるのか、されてるのか…」



呆れていた吉村君の看病のおかげで
2日寝込んだ山崎君は復活!
元気いっぱいに僕達の看病をしている

寒くなると手を貸せとせがむ


なんだか、療養生活も悪くない気がした




「大阪城に移って、本格的に療養して欲しい
松本先生もいる、警備もしっかりしてる」




土方さんが、説得するのは山崎君だった

僕も近藤さんも、従うしかないから


「力不足ですか?」


「そうじゃねえって、お前にも仕事がある
医術に長けてても、お前ひとりだと
限界があるだろう?」


「なら、俺も大阪に行く!!」


「山崎……」



土方さんが困っている

僕としては、山崎君が一緒だといいなって
思うんだけど



「歳 山崎君のことは、私が説得するから
大阪への支度を頼むよ」




近藤さんは、置いていく決心が出来ていた






















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