浅葱色の忍

山崎烝

「アホや……怪我とか初めてや……」


「この、着物斬るぞ
左之に体預けて楽にしてろ」


2人が、テキパキと水や、包帯を用意して
俺の着物を斬っていく


「サラシしてるから、ザクッといってええ」


遠慮してる永倉に言うと

パッパッと脱がせてくれた


「鏡 見せて」


傷口を治療しようと思ったが



あかん……


当たりどころが悪い…


骨、折れてるし
左手は、感覚もなければ、動かすことも
出来ない



俺を見る2人に目がいく


「ふふっ」


急に笑う俺に、怪訝な表情浮かべた


「なんだよ」


「心配してくれてるんやなって」


「当たり前だろ」


「このままでええわ
張れてるおかげで血も止まったみたいや
体、拭いて貰ってええ?
それから、包帯して着替え手伝ってや?」



手が動かないんだから、ひとりでは無理

恥ずかしいとかより

早く、生きているうちに
勇に会い


新選組を導くことを最期の仕事にしよう



血が止まったせいか、頭がハッキリした








まだ、死ねない










「お前… 俺らで良かったな」


「おぉ斎藤や平助とか総司みたいな
女慣れしてない奴らだったら
無理だぞ… 少しは、恥じらえよ」


「恥じらう時間が勿体ない!
速う、大阪行きたいねん!」


「近藤さんに会いたいってか?」


「/////」


「そこは、恥ずかしいのかよ!!!」


「よし!乗れ!」


永倉の背中に乗る


おんぶなんて、いつぶりやろか?



「サラシがないと、胸の感触が背中にくる
儲けたな!」



バシッ



「黙って歩け!」



< 176 / 264 >

この作品をシェア

pagetop