浅葱色の忍
永倉の背中で、ふわふわと浮いたように
眠気に襲われる


「…き!」

「しっ……ろ!」

「お……き!」

「山崎!!!」


遠くから声が途切れ途切れに聞こえるかと
思えば、すぐ近くだと気がついた
ペチペチと頰に手が当たる


目を開けると、2人が安堵の表情


「おどかすなよ…」

「水飲めるか?」


この景色……
京を出たあたりやろか


「ま……だ……死ね……ない……」


2人が、ぐっと息を呑むのがわかる

「ほら、水飲め」

「俺らの長い足だ!すぐ土方さんに追いつく
松本先生に診て貰えば、すぐ治る!」

「コクコク…… そやな」


水を飲み、微笑む
凄く楽になった


「寝てて……ええ?」

「起きろよ」

「うん」


今度は原田の背中に乗る



「俺が、死んだら……後は尾形に頼んでる」


「人の背中で縁起でもねえこと言うな!」


「一応、言っておこうかと…」


「近藤さんに会ったら、元気になるだろ」


永倉が頭をポンと弾く


「うん……勇に会えたら……元気になる」








「おい!!」








永倉に起こされ、目を開ける




「どっちに行ったらいい?」




は?






辺りは暗く、どっちと言われても…

「降ろして」




永倉に穴を掘らせて
原田に湿ってなさそうな枝を拾わせた

片手で軽く火をおこすと、すげぇとか
驚いていた


「山崎、熱あるから温けえ!」

「助かるな!」


焚き火ではなく、俺の方が暖かいらしい




「追いつくって、言ってへんかった?」


「さあ?」


「足長いとか」


「さあな」




「ふふっ
もっと、早く言えば良かった
こんなに… 言った後の方が
皆の事……好きになった
皆……変わらずに仲間でいてくれるから」


「当たり前だろ…まぁ裸見れて良かった」


「クククッ 近藤さんに怒られるな」


「ふふっ それより、心配して泣くやろ
慰めたってな……」


「あー、大変だろうな」


「だな……近藤さんがオロオロすんのが
目に浮かぶ」


「「「はははっ」」」


3人で苦笑いした









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