浅葱色の忍
「烝!……烝!」





勇?



目を開けると、ちゃんと勇がいた


ついたんや




重たい瞼を必死で開け、微笑む



息がし辛く、喋ろうという気にならない


勇とたくさん話をしたいのに



「お  揃い やな」



今にも泣きそうだから、同じとこ怪我したなって、笑っておいた



「何をのん気な!!!先生がすぐにくる!」



来ないよ




土方さんが大阪に入ったら
慶喜は、大阪を出るんだから



「山崎君~ また3人並んで寝ようね!」


「ふふっ……」



俺よりのん気なんがおった


「近藤さん!
山崎君を僕らの部屋に移しますよ!」


「まだ、治療を……」


「今日は、無理なんだとよ」


「なんだと!? 烝が怪我をしていると
昨日伝えたはずだ!」


「うぅっ…ててっ… 勇……」


片手で起き上がり、勇にだきついた

勇のニオイ



「会いたかった……ふふっ」


皆の前だけど、ホンマに嬉しい


勇も片手で抱きしめてくれた


お互い片手だけや


ぎゅっとならんのが、もうすぐそこの

別れを予感しているようで


切なく感じた



「おいおい… いちゃつくなよ…」



土方さんが、言うけど

誰も、俺らを離そうとしなかった




「勇… 3人で寝よか…」




そう言うとお互い、手をゆるめた

永倉が、サッと俺を支えてくれた



「連れてってやるよ!」



おんぶではなく、横抱きにされ



「恥ずかし…/////」



「お前、恥ずかしがるとこ違うだろ
人前で抱き合ってたくせに」


女扱いされるとって、意味やねんけど



ぼぉーっとしてくる頭で



「長巻持ってきててな」


「は?」


「お守り…」


「わかった」




きっと、追っ手がくるはずだから






「尾形の指示…聞いといて…」


「わかった」


「あと…」


「皆で、聞いとくから
お前は、少し休め!わかったか?」


「うん… 俺… 布団で寝ると…
めっちゃ 回復すんねん…」


「知らねぇよ なんだそれ ぷふっ」


「永倉…酒……」


「は?飲む気かよ!?」


「…楽しかった」


「俺も… ふっ 今度は、俺が奢る」


「…聞いたで」


「おう!言った!」



勇を真ん中に3人並んだ


布団に入った瞬間


眠気に負けた




手 繋ぎたかったのに…




















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