浅葱色の忍

近藤勇

「山崎の前で泣くなよ!」


歳に言われ、私は我慢した

青白い顔を見れば、良くないのだとわかる


早くに知らせておいたのに
どうして治療をしてくれないのだろう



烝は、すぐに眠った
右手をとり、そっと繋いだ


「怪我…しないと言っていたじゃないか」



状況は、聞いた

予期せぬ怪我だ



私だって、そうだ



「近藤さんも元気になったじゃないですか
山崎君も、元気になりますよ」



総司の言葉に

そうだ

烝も、良くなる!と、言い聞かせた





しばらくして



歳が様子を見に来た




「コイツにゃ、敵わねえな…」


烝の前髪をわしわしと混ぜる


「明日、船に乗る
山崎が逃がした慶喜様を追う」


「逃がした?」


「あぁ 俺が大阪に入ったらそうすると
約束していたんだと…
だから…松本先生がいないことも知ってた
かっちゃんに抱きついて、追求を避けた
たくっ……すげぇよ」



歳が烝を誉めるのは、いつものこと



「クククッ 普段布団で寝ねえから
熱下がってきてるな!面白ぇ奴!」


いつまでも、烝を弄られると


「触りすぎだ」


妬いてしまう



「悪ぃ かっちゃんのだったな」



繋いだ烝の手に力をこめる

どうか、回復して欲しい








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