浅葱色の忍
翌日




港に隊士らを待機させる為

城の中は、ごたついていた

怪我人を運び出したり、食料などの調達



午後になると



城の中は、私達3人だけなのかと思うほど
静かになった



「んー!よく寝た!ん?」



私と繋いだままの手で背伸びをしたので
キョトンとする


「わ!勇!ごめん!」


「怪我と反対の手だよ」


「あ… 良かった…」



顔色が良いわけではないが、起きてすぐ
ゴソゴソと動き始めた


「寝てなさい」



そう言うと



「沖田 勇と先に港に向かえ」


永倉君と原田君に着せて貰った着物の着崩れを直し、長巻を手にした



「何を言っている!!
烝を置いて行けるはずがないだろう!!」


「わかりました!近藤さんは、僕に任せて」


「総司!!」


「敵ですよ!さっ行きますよ!」


「だめだ!」


「ダメじゃない!!ここで、僕らが山崎君の
足手纏いになるわけには、いきません!
城の外に土方さんがいるはずです!
呼んでこいって事でしょう?山崎君!」


「沖田、賢いなぁ~ 頼むで!
俺は、片手でも長巻なら誰にも負けへん!」


にこりと笑う烝は、怪我をして
先ほどまで寝ていたとは思えないくらい

凜と、立っていた





総司に少し待てと身振りし

烝のそばへ



頰に手を添え、そっと口づけをした




「外で待っているよ」


「うん」







忍として死ぬ気なら


撃たれたときに、歳に頭を下げたはず



そうしなかったのは



生きる為だと




烝は、忍としての名誉より

私を選んでここまで来てくれた





だからこそ





片時も離れたくなかった







「すぐ行くさかい
そんな顔せんと!ほら!」


烝に促され、微笑む



「さぁ、近藤さん」




少しふらふらしている総司と支えあうように、部屋を出た





















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