浅葱色の忍
その夜は、雲がなく
月明かりが綺麗で


なんとなく

眠られへんで


ブラブラと散歩をしていた



こんな月明かりさえも
俺には、眩しいくらいや


忍は、光など求めてはいけない


でも、少しくらい


屋根に上がり、今日の出来事を思い出す


忍だから、表にいてはいけない



だったら…  同じやんか


あの頃と、同じやんか





「山崎 いるか?」






副長の声がして、屋根から降り部屋へ



「なんでしょう?」


「悪かったな」


「昼間のことなら、気になさらず」


「昼間っつーか、まぁ昼間言ったことだが
お前に忍でいることを押し付ける言い方して、悪かった」


「…」  驚きすぎて言葉が出えへん



「俺もかっちゃんに拾って貰った一人なんだ
荒くれ者で、人を傷つけることばかりしててな 家族以外に信用出来る人がいなくて
皆が敵に見えてたんだ
かっちゃんは、正反対で
誰でも信じるし、助けてた
騙されても、笑っていた」



めっちゃ、想像できる



「かっちゃんを守ってくれて
ありがとうな」



「副長 すみませんでした
俺、覚悟が足りなかったかも
忍に戻ると決めたのに…
どっかで、甘えがあって
戻りきれてなかったんです
縁の下じゃないけど、忍として
お役に立てるよう、精進します!」



「おう」




再び、屋根上へ


あの頃とは違う


全然ちゃう!!!





まだ、お日様は目が痛いけど

この月明かりで、少しづつ

新選組という明かりに慣れていこう





新選組やったら、忍でもええわ
















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