浅葱色の忍
美賀子様が御正室になり

この先どうしようかと思案中だったが

相変わらず側室として、呼ばれた



もう、練習相手は必要ないだろうに






「御側室は、華奢でいらっしゃいますから
お子が出来ても育つやら?」





美賀子様の女中が、舐めるように見て
冷ややかに言った




「側室になられて2年
未だにお子に恵まれないのは
御寵愛がないからだわ」



こんなおまけもつけて




知ってるよ


んなこと、言われなくても承知の上


練習相手なんだから…







たとえ、寵愛なんてなくても



俺は、慶喜が愛しい





だから、呼ばれることが嬉しくて仕方ない







ただ……





毎回、これが最後かもと思うと
切なくてたまらない





「美賀子様にお子が出来たら
呼ばれなくなるわ!」




美賀子様は、凄く良い人だし
側近女中も良い人


だけど、この小言をわざわざいいにくる
女中は、面倒くさい


いちいち俺がわかってることを言うし
何より、目が怖い


平岡が怒っている時なんて
可愛いものだ


そんなに、恨まれることしたか?









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